酒をほとんど飲まない人が発症し、肝硬変や肝臓がんに進む恐れもある「非アルコール性脂肪肝炎(NASH)」を、血液検査で精度よく診断できる新手法を開発したと、大阪大のチームが米医学誌電子版に発表した。
NASHの早期発見と患者の体の負担軽減につながるという。
NASHは、超音波検査で非アルコール性の脂肪肝とされた人の1割程度を占めるとされ、脇腹に針を刺して肝臓組織を一部採取する肝生検で診断する。
しかし、肝生検は入院が必要で患者の体の負担も大きいため、簡便な診断法の開発が求められてきた。
大阪大の三善英知教授(肝臓病学)と鎌田佳宏准教授(同)らは、NASHの特徴とされる▽風船のように異常に膨らんだ肝臓細胞▽肝臓組織が炎症で硬くなる線維化――に伴って血中に増えるたんぱく質をそれぞれ特定。これらのたんぱく質の量などの違いから、NASHを診断する検査手法を開発した。
大阪大病院のほか、大阪市立大や高知大の病院など計5病院で、肝生検でNASHと確定した患者約300人と、非NASHの約200人を対象にこの検査で患者かどうか見分けられるかを検証。その結果、約85%の精度でNASH患者を判別できたとしている。
三善教授は「血液検査なら会社の健康診断で早期発見できるし、痛い思いをしなくて済む。2、3年後の実用化を目指したい」と話す。
(2015年8月21日 読売新聞)