熊本大大学院と北里大の研究グループは、皮膚がんの中でも見逃されやすく治療が難しい血管肉腫の発生に、特殊な融合遺伝子が関わっていることを確認し、米医学誌「キャンサー・リサーチ」(1日掲載)に発表した。皮膚がんの原因解明や特効薬の開発につながる可能性があるという。
同大学院によると、血管などの細胞から発生する血管肉腫は中年以上の頭部にできることが多く、進行が早いが見逃されることが多い。血管肉腫のがん細胞の遺伝子を解読した結果、本来は別々の二つの遺伝子が融合していることを発見。血管肉腫の患者25人のうち9人でこの融合遺伝子を確認した。
この融合遺伝子を含む細胞をマウスの皮膚に注射したところがん化。逆に融合遺伝子を細胞から除去すると血管肉腫の細胞が減少し、発生に関係していることが明らかになったという。
同大学院の神人正寿准教授は「血管肉腫を制圧する突破口が見つかった。特効薬の開発に向けて研究を続けたい」と話している。
(2015年11月1日 毎日新聞)