国立がん研究センターは、がんの遺伝子変異を約100種類まとめて調べ、最適な治療法を見つける臨床研究を来年1月から始める。
2018年度の一般医療への応用を目指している。
がんは、遺伝子が傷つき変異することで生じる。同じ種類のがんでも変異には複数の種類があり、抗がん剤の効き目もそれぞれ異なる。近年、特定の遺伝子変異を調べ、抗がん剤の効果を予測する手法が発達し、一部は保険適用となっている。ただ、検査は1種類ずつしか行えず、時間がかかる問題があった。
同センターは、肺がんや乳がんなどに関わる約100種類の遺伝子変異を一気に分析する手法を開発。臨床研究では患者からがん細胞を取り、2週間で変異を調べる。同センターの中央病院(東京)や東病院(千葉)で複数の抗がん剤の治療を受けたが効果が見られなくなった患者を対象にし、年200人の分析を行う。
約100種類の遺伝子変異は、それぞれの変異に対応した有効な治療薬が既にあるものや、製薬企業が薬の治験を行っているものが多い。臨床研究で、患者にこうした遺伝子変異が見つかった場合、最適な治療を始めたり、治験を紹介したりする。
(2015年11月20日 読売新聞)