富士化学工業と金沢大学の共同研究において、今が旬の食材「サケ」や「カニ」などに含まれる赤い色素「アスタキサンチン」が、NASHの予防・抑制に有効であることが世界で始めて明らかになりました。
非アルコール性脂肪性肝疾患は、国内患者数約2000万人と推定され、その中で炎症を発症しているNASHは約300~400万人と推定されています。
NASHの治療薬は、原因が複雑であるため開発が遅れていて、現時点ではビタミンEの使用が主となっています。アスタキサンチンの脂質の過酸化抑制がビタミンEの250~500倍強いことに注目してマウスを用いて実験を行ったところ、アスタキサンチン摂取により、インスリン抵抗性が弱まり、肝臓へ脂肪沈着が抑制され、脂肪肝になりにくいことが明らかになりました。また、炎症をひき起こすマクロファージを炎症性M1マクロファージから抗炎症性M2マクロファージに交換されて脂肪肝からNASHの発症が抑えられることが分かりました。
さらに、NASHを発症させたマウスにアスタキサンチンを摂取させると肝硬変につながる肝臓の炎症や繊維化が80%近く改善することも分かりました。
ヒト試験においても、NASH患者の肝臓の脂肪蓄積が抑えられていることも確認されています。