1年のうちで最も寒いと言われるこの時期ですが、厚生労働省では2月1日~7日を生活習慣病予防週間として、寒冷期であることから特に「脳卒中」に注意を呼びかけています。
脳卒中や癌、心臓病などの生活習慣病は、一般に30歳代以上の世代から発症しやすくなる病気の総称で、以前は成人病と呼ばれていましたが、その原因が長年にわたる生活習慣や子供の頃からの予防に注意しなければいけないことから、生活習慣病と名前が改められました。
脳卒中は脳血管障害とも言われ大きく分けると、脳梗塞、脳出血、くも膜下出血の3種類があります。
まず、脳梗塞は、日本人の脳卒中のうち約60%を占めると言われていて、脳の血管が細くなったり詰まったりしてその先に血液が行かなくなり脳の細胞が死んでしまうものです。詰まった場所によって、知覚障害や運動障害、意識障害などの症状も出ることがあります。
脳梗塞で最も多いと言われているのがラクナ梗塞で、脳の細い動脈が高血圧により痛めつけながらも長期間破れず、徐々に詰まって脳の深い部分に小さなものができます。症状が出ないことが多く、無症候性脳梗塞とも呼ばれています。発症は高齢者に多くて病状はゆっくりと進行して、夜間や早朝に発症して朝起きたら手足のしびれや言葉が話しにくいなどの症状で気付くケースが多いようです。
次に、脳出血は、脳の血管が動脈硬化を起こしてもろくなっている上に高血圧が続いて、ついには血管が破れて脳の中に出血が起こります。脳に出血した血液は固まって塊(血腫)になり、それが大きくなると頭の中の圧力が高まって正常な脳を押してしまい、脳の働きが悪くなります。
出血した場所によって症状は違いますが、片麻痺や感覚障害を伴うことが多く、重症だと意識障害、さらには死亡につながることもあります。
最後に、くも膜下出血は、頭蓋骨の下にくも膜というクモの巣のような透明の薄い膜があり、その内側に脳があって脳に血液を送る血管に動脈瘤(こぶ)や動脈硬化ができて、血圧が高くなった時にくも膜が急に破れます。出血した血液は、くも膜と脳の隙間に拡がっていきます。
何の前触れもなく、突然猛烈な頭痛や吐き気、嘔吐が起こり、そのまま意識不明になることが多い疾患です。
出血が軽い場合は意識が回復しますが、出血が多い場合は死亡に至ることもあります。一度出血した
動脈瘤は短時間の内に再出血することが多いので、入院しての絶対安静が必要です。
これら脳卒中の前触れの症状としては、舌がもつれた感じ、言いたいことが言えない、片側の手足がしびれる、などの共通点があります。
症状が軽く一時的なことが多いためそのまま放置しがちですが、再び脳の血管を詰まらせる可能性は高く、このような症状が出たら大きな発作を起こす前に迷わず、医療機関で受診して相談しましょう。