魚に含まれる脂を多く摂取すると、膵臓がんの発症リスクが30%低下するとの調査結果を国立がん研究センターがまとめた。
調査は、1995年と98年に、食事の摂取頻度などのアンケート調査に回答した45歳~74歳の男女約8万2000人を対象とし、がんの発症の有無を2010年末まで追跡調査した。
追跡期間中、膵臓がんの発症は449例あり、追跡開始3年以内の発症例を除いて解析した。魚由来のn―3多価不飽和脂肪酸(エイコサペンタエン酸、ドコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸)の摂取量で四つのグループに分けて比較したところ、最も多いグループは、最も少ないグループよりも、膵臓がんの発症リスクが30%低かった。
膵臓がんは、喫煙や肥満、糖尿病、慢性膵炎との関連が指摘されている。同センターがん予防・検診研究センター予防研究部の島津太一室長は「魚由来の脂には炎症を防ぐ作用がある。膵臓の炎症が軽減され、がんの抑制につながったのではないか」と話している。
(2015年12月24日 読売新聞)