厚生労働省の専門家会議は14日、国の先進医療として約300万円の自己負担で行われている、がんの「粒子線治療」について、一部のがんに限って保険適用が妥当だとの意見をまとめた。
今月中に開かれる厚労相の諮問機関・中央社会保険医療協議会で正式に決定し、4月から保険適用となる見通し。
粒子線治療とは、陽子線や重粒子線という特殊な放射線を利用し、がんに集中的にダメージを与える。保険適用される見込みになったのは、小児がんへの陽子線治療と、手術できない骨や筋肉などにできる骨軟部腫瘍への重粒子線治療。日本放射線腫瘍学会がまとめた治療実績などから有効性と安全性の高さが確認できた。
粒子線治療は、転移のない様々な固形がんに対して先進医療として行われているが、この2種類以外のがんの大半は、データが不十分で他の治療よりも優れているとは言えないとして先進医療のままとした。
陽子線治療は2001年、重粒子線治療は03年、先端的な医療と一部保険診療との併用を認める先進医療になった。巨大な装置が必要で、国内では13施設で実施され、近年は年5000人弱が治療を受けている。
(2016年1月15日 読売新聞)