国立がん研究センターの研究班は、がんの部位別10年生存率を初めて集計し、全国がん(成人病)センター協議会のホームページで20日公開する。5年生存率は以前からあったが、10年生存率の大規模な集計は初の取り組みで、肝臓、乳がんなど部位により5年生存率と大きな差があることが新たに判明した。
10年生存率の集計は、がん診療を専門的に手がける県立がんセンターなど16病院を対象に、1999年から2002年に診療した約3万5000人のデータを部位別に分析した。
それによると、最も高かったのは甲状腺で90・9%。患者の多いがんでは、大腸が69・8%、胃が69%、肺は33・2%だった。食道、肝臓、膵臓は30%未満にとどまった。
生存率を5年と10年で比較すると、胃や大腸では大きな差はなかったが、肝臓がん(5年32・2%→10年15・3%)、乳がん(同88・7%→同80・4%)では大きな差が見られた。
国立がん研究センターの若尾文彦・がん対策情報センター長は「これまで5年生存率が治療効果を図る目安とされてきたが、今回の集計で、部位によっては10年生存率との差が大きいことがわかり、長期にわたるフォローの重要性が明確になった」と話している。
(2016年1月20日 読売新聞)