理化学研究所や京都大などの研究グループは、アトピー性皮膚炎の原因となる遺伝子を、マウスを使った実験で突き止めたと発表した。
新たな治療薬や予防法の開発などにつながる成果という。米医学誌「ジャーナル・オブ・クリニカル・インベスティゲーション」電子版に26日、掲載される。
理研の吉田尚弘研究員らは、アトピー性皮膚炎を発症するマウスを調べ、「JAK1」というたんぱく質の遺伝子の一部が変化し、異常に活性化しているのを発見。その結果、皮膚の角質に働く酵素も活性化し、角質がはがれて刺激を受けやすくなっていることが分かった。JAK1の働きを防ぐ塗り薬や、刺激から皮膚を守るワセリンなどをマウスに塗ると、アトピー性皮膚炎の発症を予防できた。
このたんぱく質は人の体内にもあり、アトピー性皮膚炎の患者6人中4人で「JAK1」の活性化がみられたという。
アトピー性皮膚炎に詳しい天谷雅行・慶応大教授は、「アトピー性皮膚炎の仕組みの一端を解明し、人の治療につながる可能性のある重要な成果だ」と話している。
(2016年4月26日 読売新聞)