日本人の成人1日あたりのカルシウム摂取推奨量は、650~800mgといわれているのに対して、2014年「国民健康・栄養調査」によると、20歳以上の平均カルシウム摂取量は490mg/日と、かなり推奨量を下回っています。
また、高齢者の方に多い骨粗鬆症の予防における基礎的な栄養素としてカルシウムは重要であることはよく知られていますが、高齢者が寝たきりになる原因のひとつに、骨粗鬆症により骨が柔らかくなっているところに「つまずいた拍子に転んで、大腿骨を骨折する」ということもありますので、日ごろから骨を丈夫にしておくことが大切です。
そこで、しっかりとカルシウムを摂取することは重要であることは言うまでもありませんが、骨粗鬆症の予防する栄養素としてカルシウムだけでよいのかといえばそうではありません。
もともとカルシウムは、体内に吸収されにくい栄養素(比較的吸収率が高い牛乳でも約40%)ですので、カルシウムを多く含む食品を摂取すると同時にカルシウムの吸収を促進させる栄養素、例えばビタミンD、クエン酸、カゼインホスホペプチド(CPP)などと組み合わせることが大切です。
ビタミンDを多く含む食品は、魚類・キノコ類などです。その他、少しの日光浴でもビタミンDは体内で作られます。
クエン酸は、レモンや酢などに多く含まれていますので、「小魚のマリネ」などは、骨粗鬆症の予防にお奨めのお料理です。
逆にカルシウムの吸収を妨げる食品は控えたほうが良いですが、特にインスタント食品やスナック
菓子などに多く含まれるリンの過剰摂取は禁物です。
さらには、せっかく吸収したカルシウムを骨に定着させなければ意味がありませんので、納豆・春菊・ほうれん草などに多く含まれているビタミンKやタンパク質、ビタミンC、マグネシウムなど、
カルシウムを骨に定着させる栄養素も同時に摂取することを心がける必要があります。
但し、ビタミンKは血栓を予防するお薬の「ワルファリン」の作用を弱めてしまいますので、「ワルファリン」を服用されている方はビタミンKを多く含む食品の摂取には注意が必要です。
寝たきりにならない、「健康長寿のためにも骨粗鬆症を上手に予防」しましょう。