秋をイメージする味覚として思い浮かぶもののひとつに「栗」があります。
栗は、茹でたり、焼いたり、栗ごはんにしたり、スイーツの素材としてもよく用いられていますね。
今回は、そんな秋の代表的な味覚「栗」の健康成分をご紹介します。
★中国では古来から重宝されてきた食材
栗は、中国では古くから生薬として用いられてきました。栗は「栗子(リッシ)」という生薬名で1500年ほど前に著された医学書「名医別録」にも既に記載されています。
そこには、「主に気を益し、胃腸を厚くし、腎気(精気)を補い、飢えに耐える体力をつける」と記されており、薬膳食材としては「性味は甘、温。効用は胃や脾の機能を高め、精気を補い、筋力を強める」とされ、様々な病気の治療や健康増進に用いられていたようです。
さらに中国の書物では、花や葉、イガ、樹皮なども生薬として記載されており、煎じたものを使って皮膚の炎症を抑える目的で利用されていました。
さすがに、樹皮やイガなどは調理は難しいですが、栗の実に一番近いところにある渋皮にも栄養成分がたくさん含まれていて、特に抗酸化作用の強いタンニンが豊富に含まれています。
あまり大量に食べることはしにくいですが、栗ご飯を作る際に渋皮を残してみたり、渋皮ごと栗を煮る渋皮煮などでも食べることはできます。
★ビタミンCと食物繊維で美容・健康に役立ちます
栗には、皮膚や血管の老化を防ぎ免疫力を高める働きを持つ抗酸化成分であるビタミンCが多く含まれています。風邪や感染症、生活習慣病の予防のほか、メラニン色素の沈着を防いで肌のシミを抑制したり、コラーゲンの合成を助けてシワを防ぐなど、美白・美容効果も期待できます。
一般的に、ビタミンCは熱に弱いため、調理法によっては失われることの多い成分ですが、栗にはでんぷんが多く含まれていて、ビタミンCがでんぷんに守られるため、加熱されても失われにくいのが特長です。
さらに、栗には食物繊維も豊富なため、整腸作用があります。食物繊維によって腸内の悪玉菌や有害物質などを吸着して排出することで腸がきれいになると、便通の改善や肥満の防止、吹き出物や肌荒れなどの肌トラブル改善なども期待できます。
★ビタミン・ミネラル類がたっぷり!
その他にも、ビタミンB1や葉酸、カリウム、亜鉛などの健康に役立つ成分がたくさん含まれています。
ビタミンB1は疲労回復に役立つビタミンで、糖のエネルギー代謝に必要な栄養素です。炭水化物など糖質を摂るときは、ビタミンB1を一緒に摂ることで、糖の代謝を高めるので、ダイエット効果も期待できます。
葉酸といえば妊娠中の方が摂取を勧められる成分ですが、妊娠中でなくても摂取したい成分です。葉酸は造血に必要な成分ですので、不足すると貧血につながる恐れもあります。また、葉酸は細胞の核酸の合成にも必要な栄養素で、細胞が分裂して増殖するのに必要となるため、生命活動には欠かせない成分です。
カリウムは、体内のナトリウムを排出する作用があります。塩分の摂取が多いと体内ではナトリウム過多となり高血圧につながることもありますので、高血圧予防にもつながります。
また、体内のナトリウムを排出することで余分な水分の排出にもつながるため、むくみの解消にもつながります。
亜鉛は、現代では不足しがちな成分だと言われています。亜鉛不足で代表的な症状が、味覚障害です。
味を感じなくなったり、おかしな味に感じるなど、食欲や調味料の過剰摂取などにつながります。
亜鉛は、ビタミンCと一緒に摂ると吸収が良くなります。栗には亜鉛もビタミンCも含まれており、亜鉛を摂取するには良い食材と言えそうです。
今の時期は特に栗を使った料理やスイーツをよく見かけます。
栗を食べる際には、健康への意識も持ちながら、秋の味覚を堪能してみてはいかがでしょうか