自閉症を引き起こす仕組みの一端を遺伝子異常の側面から解明したと、九州大の研究グループが発表した。
7日付の英科学誌「ネイチャー」電子版に掲載される。
自閉症の原因に関係すると考えられる遺伝子は数多く報告されている。特にDNAの転写などに関わる「CHD8」を持っていない人は患者で最多の約0.4%いるとの研究もあるが、具体的な因果関係は不明だった。
中山敬一・九大主幹教授(細胞生物学)らは、CHD8がないマウスを作製し、行動を観察。正常なマウスに比べ、不安を強く感じたり、仲間に関心を示さなかったりする自閉症の傾向がみられたという。
次にさまざまな遺伝子の働きを調べ、CHD8のないマウスは「REST」というたんぱく質が異常に活性化することが分かった。
RESTは胎児の神経細胞の発達を止める働きがある。そのため、自閉症を引き起こすと考えられるという。
中山主幹教授は「RESTの働きを抑制する薬を作り、患者に届けたい」と話した。
(2016年9月8日 毎日新聞)