「学習療法」は認知症の改善に効果があるのか――。
公文教育研究会などが実施した調査では、学習療法を受けた人は介護が必要な程度が重くなりにくいという結果が出た。調査を担当した研究者は一定の効果があったとし、詳しい調査に乗り出す考えだ。公文教育研究会などが12日に発表した。
調査は介護施設などに入所する要介護1~5の認知症の高齢者を対象に昨年7月から1年間実施。30人が音読や簡単な計算を採り入れた学習療法を1日30分、原則週5日受け、受けていない27人と比較した。要介護度を決める判断方法である「要介護認定等基準時間」を分析した結果、学習療法を受けなかった人は通常並みに介護の必要な程度が重くなったが、受けた人はほとんど変わらなかったという。
調査を担当した慶応大の佐渡充洋・専任講師(精神・神経科学)は「介護保険の費用でみると、1人あたり1年間で平均約20万円の節減効果があった」と指摘。同大の三村将教授は「脳を刺激することで認知症の進行度を防げることを表す一つの結果。薬物療法とともに重要な非薬物療法の効果を判定する今後の研究につなげていきたい」と話す。
(2016年9月13日 朝日新聞)