骨の中が空洞化する「骨粗鬆症(こつそしょうしょう)」など骨量が減る病気について、その減少をくい止めるたんぱく質を、東京医科歯科大の高柳広教授(骨免疫学)らが見つけた。国内に患者が1300万人いるとされる骨粗鬆症や関節リウマチなど骨の病気への治療の応用が期待される。
骨は、破壊(吸収)と新たな形成のバランスが保たれることで、健康な状態を保っている。このバランスが崩れ、吸収が多くなると骨が空洞化して骨粗鬆症になったり、逆の場合は骨が密になる「大理石骨病」などを引き起こす。現在の骨粗鬆症の治療は、吸収を抑えることが中心で、形成を促す薬はほとんどないという。
高柳教授らは、もともと神経や免疫をコントロールする作用があることが知られていた「セマフォリン3A」(セマ3A)というたんぱく質に、骨の破壊を抑える効果があることを確認した。このたんぱく質を、マウスに静脈注射したところ、吸収の細胞を抑え、形成の細胞が促進され、骨量が適切に増えた。
2012.4.22 毎日新聞
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