原因不明の激しい疲労感や頭痛、体の痛みなどが続く「慢性疲労症候群」について、大阪市立大などのチームは17日、特定の血中成分の割合に異常があることを確認したと発表した。客観的な診断法の開発につながる成果で、論文は英科学誌電子版に掲載された。
同症候群の国内患者数は推定約30万人。脳内の炎症との関連が指摘されるが、診断は患者の訴えが中心で、客観的な診断指標はなく、治療法も確立されていない。風邪や精神的な症状と誤認されるケースも多く、重症化すると寝たきりになる場合もある。
チームの片岡洋祐・同大学客員教授(生理学)らは、約50人ずつの患者と健康な人から採血し、53種類の血中成分を調べた。その結果、患者の血液は、疲労物質を分解する働きがあるアミノ酸「オルニチン」など4種類の濃度比が、健康な人と比べて高いことが分かった。
患者の細胞の代謝機能に異常が起きているとみられ、片岡客員教授は「1、2年内にもこれらの成分を基にした新たな診断法の開発を目指す」としている。
(2016年10月18日 読売新聞)