平成15年5月の「くすりの話」で、「サリドマイド~現在・過去・未来~」というテーマで皆様にお伝えしておりますが、今回のテーマも「サリドマイド」についてです。
サリドマイドといえば、約40年前に遡るのでしょうか、当時は副作用の少ない安全な催眠剤として使用していましたが、四肢欠損の奇形児が誕生したことによる、いわゆる「サリドマイド事件」が発生したことはご存知の方も多いと思います。
しかし最近では、サリドマイドには、ガンや炎症に伴って発生する新生血管をブロックすることが知られています。
この薬理作用が、催奇形性の原因にもなるのですが、一方でガンや炎症に有効と考えられるようになってきました。
さて、この度お話させていただくのは「サリドマイドと多発性骨髄腫」についてです。
多発性骨髄腫の化学療法における奏功率は、29%以下といわれています。 しかし、約10年前にサリドマイドに32%の奏功率があると発表されてから話題になり、その後デキサメタゾンとの併用によって60~70%の奏功率を示すことが確認され、国内でもサリドマイドが医薬品として承認される見通しとなりました。
藤本製薬が、本年8月に国に対して承認申請を行っていますが、正式に承認されるまでしばらく時間がかかりそうです。
もちろん、言うまでも無く妊婦や妊娠の可能性のある婦人には禁忌の薬剤にはなりますが、多発性骨髄腫で治療されている方にとっては朗報といえそうです。
サリドマイドは、体内で容易に分解・代謝を受け、多くの代謝産物がそれぞれ固有の作用を持つ事が知られていますので、研究が非常に難しい医薬品です。
今後、催奇形性を有しない、サリドマイドと良く似た物質の開発も待たれるところです。
