高血圧症と骨粗鬆症は、一見何の関係もないように思われますが、実は非常に密接な関係があります。
また、高齢化社会において、高血圧症と骨粗鬆症は、加齢とともに切っても切り離せない関係にあります。
この両疾患に対する生理的な説明として、主としてカルシウム代謝・排泄が着目されています。即ち、高血圧症の患者は、一般に尿中カルシウム排泄量が多いことが知られており、二次的に副甲状腺ホルモンを上昇させて骨からのカルシウムの流出を促すことで、骨粗鬆症が悪化する事が考えられています。
実際に、高血圧症に使用される利尿薬は、骨折の頻度を低下させたり、骨密度を増加させるといった臨床研究結果が報告されています。
また、最近ではカルシウムの代謝・排泄以外の機序でも高血圧症と骨粗鬆症の関係が明らかになりつつあります。
大阪大学大学院医学研究科の中神啓徳氏らの発表によれば、高血圧症の治療に用いるACE(アンジオテンシン変換酵素)阻害剤が、骨折の頻度を低下させることをいくつかの実験から明らかにしました。
例えば、免疫抑制剤(抗がん剤)として使用されている薬が、リウマチ治療薬として使用されることもあるように、お薬の副次的な作用を期待して別の目的に使用されることも少なくありませんが、それにしても高血圧症の薬が、副次的な作用として骨代謝改善作用に効果を発揮するというのは、思っても見なかった一石二鳥のお話ですね。
