この度、地球温暖化の影響で糖尿病が増えるかもしれないという興味深い研究結果がオランダのライデン大学医療センターのLisanne Blauwらのグループにより発表されました。
なんと、気温が1度上昇するごとに、米国だけでも糖尿病と診断される患者数が10万人以上増加すると予想しています。
その根拠は、冬季に気温が低い状態が続くと「褐色脂肪細胞」が活性化することが知られており、インスリン感受性が改善することをあげています。
実際に、最近の別の研究では、2型糖尿病患者にやや寒い環境で10日間過ごしてもらったところ、インスリンの抵抗性が改善されたという報告があります。
今回の研究では、米国疾患管理予防センターのデータに基づく成人の糖尿病発症率と各州の年間平均気温との関連や、世界保健機構のデータベースから得た190カ国の空腹時血糖値の上昇と肥満率に関するデータと世界の平均気温との関連を調べています。
その結果、気温が1度上昇すると米国における年齢で補正した糖尿病発生率は1,000人あたり0.314人増加し、世界中の耐糖能異常の有病率も0.17%増加することが分かりました。
この研究に関して、米国のモンテフィオーレ医療センター臨床糖尿病センター長(Joel Zonszein氏)が「興味深い研究ではあるが、糖尿病の成因は複雑で、褐色脂肪細胞の要因の影響がこれほど大きいとは思えない」とコメントしているように、一概に糖尿病の発症率の増加が地球温暖化に結びつけることは出来ないと思われますが、一方で地球温暖化が単に地球環境への影響にとどまらず、私達の健康にも少なからず影響するとすれば、専門科に任せておけばよいという認識から世界中の人々の一人ひとりがもっと真剣に地球温暖化を考えていくことも必要ではないかと改めて感じた研究内容でした。
先日は、地球温暖化に取り組むために、温室効果ガス排出量などを定めたパリ協定についての世界的なニュースが報道されるなど、地球温暖化対策が改めて問われています。
環境問題だけでなく、健康問題にもつながるかもしれない地球温暖化について、皆様は、どのように感じますでしょうか?