「メトホルミン」と言えば、糖尿病治療薬として古くから使用されている誰もが知っている薬のひとつですが、長期投与の安全性が確認されており、低血糖症を引き起こさずに確実な血糖低下作用があり、されには安価な医薬品であるため、糖尿病治療ガイドラインでも第一選択薬として推奨されています。 日本人の糖尿病を有する人でも癌は死因の1位となっており、特に肝細胞癌のリスクが高くなることが報告されている中で、群馬大学生体調節研究所の白川教授らの研究グループにより「メトホルミン」に抗腫瘍効果の可能性があることが発見され、以前より「メトホルミン」にはがんの増殖を抑制する効果は経験的に知られていましたが、この研究成果は糖尿病患者にとっても朗報と言えそうです。
「メトホルミン」には、その他に抗ウイルス作用や血管疾患リスク低減効果、認知症リスク低減効果、寿命延長効果など、実に様々な作用を有することが報告されています。
そしてこの度、中国の研究グループにより、うつ病モデル動物を用いた試験で、神経伝達物質の調整、抗炎症効果、腸内細菌叢の改善などの作用から抗うつ作用が確認され、さらには抗うつ薬の抗うつ効果を増強することを示唆する結果が報告されました。
まさに「メトホルミン」は、古くて新しい薬と言えるのはないでしょうか。 今後の研究成果に期待したいところです。