毎冬、大流行を繰り返すノロウイルス感染性胃腸炎。東京都もこのほど集団感染が集中する時期に入ったとして注意喚起を行ったばかり。手洗いによる予防が一般的だが、母乳に多く含まれるタンパク質「ラクトフェリン」の摂取によって体の中からの予防法も効果があるという。
「ノロウイルスに対する治療薬や予防薬は存在しない。手洗いなどを習慣にし日頃から対策を」と呼びかけるのは、感染症に詳しい松本哲哉・東京医科大学教授(微生物学)だ。
感染による主な症状は下痢、嘔吐(おうと)などで、汚染されたカキなどの二枚貝を生食することで感染するほか、感染者の便や吐瀉(としゃ)物に触れてうつるルートもある。
このため調理は食材の中心温度が85度以上の状態で1分以上加熱。手洗いはせっけんを用い、30秒以上流水で行う。吐瀉物は清掃しても、一部が乾燥した後にほこりになって空中に漂い感染源になるため、次亜塩素酸ナトリウム入りの塩素系漂白剤を使った適切な処理が必須だ。
ただウイルスの侵入は完全には防げないことも確か。そのため松本教授は「体の中からも感染を予防する方法があり、その鍵を握るのがラクトフェリン。内服によりノロウイルスなどに対する免疫力が向上する」と話す。いわば体の外、中の双方でガードするわけだ。
森永乳業は昨秋~今年3月にかけ、1本あたり100ミリグラムのラクトフェリンを含む食品を摂取している461人を対象に追跡調査を実施。
この結果、感染性胃腸炎とみられる症状で医師の診断を受けた人の割合は「週1回摂取した人」が8・8%だったのに対し「ほぼ毎日摂取した人」では1・7%だった。同社食品基盤研究所の山内恒治部長は「抑制効果の可能性が示された」と話す。
ラクトフェリンの添加されたヨーグルトなどが市販されており、今冬はおいしいもので予防するのも一案だ。
(2013年11月15日 産経新聞)
