京都大大学院医学研究科の浜崎洋子准教授らの研究グループは、体内の免疫システムと重要な関わりがある胸腺の細胞を維持する幹細胞の存在を世界で初めてマウスで突き止めたと発表した。この幹細胞をマウスに移植したところ、自己免疫疾患を回避することにも成功したという。論文は米科学誌イミュニティー電子版に14日(日本時間)に掲載される。リウマチなどの自己免疫疾患の治療法発見につながる可能性があるとしている。
胸腺は、病原体を認識して反応するT細胞を生み出すとともに、自分の組織を誤って外敵と認識して攻撃するT細胞を消し去る役割を持つ。この際に重要な働きをするのが胸腺の髄質上皮細胞だが、この細胞が維持される仕組みはわかっていなかった。
研究グループは、マウスの胸腺を酵素でばらばらにする方法で、髄質上皮細胞を維持する幹細胞の特定に成功。胸腺に欠陥があり、自己免疫疾患を発症するマウスに幹細胞を移植したところ、ほぼ生涯にわたり正常な髄質上皮細胞が供給され続け、自己免疫疾患を抑えることができたという。
浜崎准教授は「幹細胞をさらに詳しく調べることで、リウマチや1型糖尿病などの自己免疫疾患の治療法を見いだすことができるのではないか」と話している。
(2014年11月14日 毎日新聞)