アトピー性皮膚炎は、皮膚表面の細菌の種類の偏りがあると起きることを、マウス実験で解明したとの研究結果を、慶応大学と米国立衛生研究所(NIH)のグループが22日、米科学誌に発表した。
研究グループは、アトピー性皮膚炎のモデルマウスを作り、皮膚表面の細菌の種類を調べた。健康なマウスの皮膚には、たくさんの種類の細菌がいるが、モデルマウスでは黄色ブドウ球菌など少数の細菌のみで占められていた。
黄色ブドウ球菌などの細菌に効く抗菌薬を長期間投与すると、細菌の種類が回復し、皮膚炎は改善した。しかし、治療を中断すると、再び黄色ブドウ球菌など少数の細菌で占められ、症状は悪化した。細菌の種類の偏りがあると、皮膚炎が起きると考えられた。
抗菌薬を長期間使用すると腸内細菌に悪影響があるため、人に同様な治療を行うことは難しいが、NIHの永尾圭介主任研究員は「一部の細菌だけが極端に増える原因が解明できれば、そのメカニズムを抑えることで抗菌薬に頼らない新しい治療法を開発できる」と話している。
(2015年4月23日 読売新聞)