脳内の神経伝達物質ヒスタミンの放出を促す薬を飲むと、記憶力が向上するとの研究結果を、東京大などのチームがまとめた。記憶の仕組みの解明につながる可能性があるという。米医学誌電子版に掲載された。
ヒスタミンはアレルギーを引き起こす物質として知られるが、脳内では睡眠や食欲、記憶などを調整する働きをしている。抗ヒスタミン薬を服用すると記憶が低下することから、チームは、ヒスタミンの放出などに関わる脳の神経を刺激し、記憶にどのような影響を及ぼすか検証した。
チームのメンバーで北海道大講師の野村洋さん(薬理学)は「ヒスタミンが神経細胞を刺激し、薄れていた記憶を回復させる一方、鮮明な記憶には、刺激が逆に不鮮明にさせるように働くのではないか」と話している。
(2019年1月21日 読売新聞)