血液検査で腎臓がんを判別できるたんぱく質を発見したと、公益財団法人がん研究会(東京都)と大阪大の研究グループが発表した。
検査での目印となる精度の高い腫瘍マーカーとして実用化されれば、腎臓がんの早期発見につながる可能性があるとしている。
研究グループは、腎臓がんの細胞から分泌され、がん細胞の情報を血液中などにばらまく微粒子に着目して調べた。その結果、「アズロシディン」というたんぱく質が、正常な腎臓細胞の30倍以上あった。さらに腎臓がん患者19人の血液を調べたところ、10人(52・6%)から、このたんぱく質を検出した。健康な10人からは見つからなかった。
研究グループは、総合化学メーカーと共同で、少量の血液でこのたんぱく質の濃度を測る簡易検査キットの開発を始めた。2~3年後の実用化を目指すとしている。
研究グループの植田 幸嗣 ・がん研究会プロジェクトリーダーは「腎臓がんの5年生存率は、早期に見つかれば高いが、最も進行した状態だと大きく下がる。早期発見によって、治療成績の向上が期待できる」と話している。
(2017年10月12日 読売新聞)
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腎臓がん判別、血液検査で…がん研など「マーカー」たんぱく質発見
魚介類食べると、うつ病リスク減…青魚に多い「オメガ3系脂肪酸」効果か
魚介類を多く食べる人はうつ病を発症するリスクが下がるとする調査結果を、国立がん研究センターなどがまとめた。
青魚に多い成分のオメガ3系脂肪酸に抗うつ効果があるとみている。調査は、1990年に長野県の佐久保健所管内に住んでいた40~59歳の約1万2000人のうち、2014~15年に実施した「こころの検診」を受けた1181人(95人がうつ病と診断)の食事について調べた。
魚介類(加工品も含め19種類)の1日の摂取量で4グループに分けると、最も少ないグループ(約57グラム)に比べ、それより多い3グループでうつ病にかかるリスクが低い傾向が見られた。最もリスクが低いのは摂取量が2番目に多いグループ(約111グラム)で、最少のグループに比べリスクが56%低かった。
(2017年9月27日 読売新聞)
手術不要で完治する乳がんを見極め…「マーカー」遺伝子を世界初発見
乳がんのうち、手術が不要で完治するタイプの判定に役立つ遺伝子を、国立がん研究センター東病院(千葉県柏市)の向井博文・乳腺・腫瘍内科医長らのグループが世界で初めて発見し、今月から効果検証に向けた臨床試験を開始した。
効果が確認されれば、乳がんの5%程度は手術が不要になるとみられる。
向井医長らはこれまでに、乳がんに化学療法と放射線治療を行った後、乳房の切除手術をしなくてもがんが消えるかを判定する臨床試験を実施。この結果、特徴的なたんぱく質「HER2」の発現があり、ホルモン療法が効かない「ホルモン陰性」の場合、半数以上は手術せずにがんが消えていた。がんが消えたグループでは、遺伝子「HSD17B4」が働いていないことを突き止めた。手術が不要な乳がんを判定するマーカーになると期待される。
今回の臨床試験の対象はHER2発現があり、ホルモン陰性で、離れた臓器に転移がない乳がん患者200人。がん細胞を採取してHSD17B4の働きを調べてから、化学療法と放射線治療を行い、がんが消えているかを手術で判定する。約30病院で実施する。
2013年に乳がんと診断された人は約7万7000人。転移がある場合を除き原則として手術を行う。このマーカーが利用できれば、年3000~5000人程度の手術が不要になるとみられる。向井医長は「別のタイプの乳がんや卵巣がんなどでも、このマーカーで手術が不要になる人が分かる可能性がある。患者の負担減や医療費抑制にもつながる」と話している。
(2017年9月26日 読売新聞)
心筋梗塞、豆腐で予防…マグネシウムでリスク減
魚や大豆などの食品に含まれるマグネシウムを多く摂取する人は、心筋 梗塞 を発症するリスクが約3割低いとする調査結果を、国立がん研究センター(東京)などがまとめた。マグネシウムの摂取量と心筋梗塞のリスクの関連が明らかになるのは国内で初めて。
マグネシウム不足は血圧上昇や動脈硬化につながり、心筋梗塞の原因になりうる。1日当たりの摂取量の目安は、成人で男性320~370ミリ・グラム、女性270~290ミリ・グラム。絹ごし豆腐だと150グラムで60~70ミリ・グラム摂取できる。
調査は、1995年と98年に45~74歳だった男女約8万5000人が対象。食事の内容や頻度などからマグネシウムの摂取量を推計し、心筋梗塞発症との関連を調べたところ、約15年の追跡期間中、1283人が心筋梗塞を発症した。対象者を摂取量に応じて五つのグループに分けると、一番多いグループの発症リスクが、一番少ないグループより男性で34%低かった。同様に女性も29%低かった。
分析を担当した国立循環器病研究センター(大阪)の小久保喜弘・予防健診部医長は、「心筋梗塞の予防が期待できるので、マグネシウムの多い魚や豆腐、海藻などを積極的に取り入れた食生活を心がけてほしい」と話している。
(2017年9月8日 読売新聞)
腕から採血しアルツハイマー病か診断 京都府医大「簡便で迅速」
アルツハイマー病かどうかを、腕から採取した血液を使って診断できる手法を開発したと、京都府立医大の徳田隆彦教授(神経内科学)らのチームが4日付の海外の専門誌電子版に発表した。
徳田教授は「新手法は体への負担が少なく簡便で、正確、迅速に判別できる」と話している。
チームによると、「タウ」というタンパク質のうち、脳内に蓄積しやすいタイプのタウが増えるとアルツハイマー病になりやすいため、診断ではこの異常なタウの血中量を測定。これまで、脳脊髄液から検出する方法はあったが、背中に針を刺して採取する必要があった。
また、タウは、脳から血中にはごく微量しか移行しないため、測定が難しかった。
チームは、タウに結合する抗体が目印になることを利用し、特殊な分析機器を導入して血中のタウを従来の千倍の感度で検出できるようにした。
新手法で、60~80代の男女20人の血液を分析したところ、異常なタウの量は患者の方が高くなる傾向が確認でき、診断に使えることが分かったという。
将来、記憶テストなどの前に実施する患者の迅速スクリーニングなどに用いることを想定しており、実用化に向け関係企業との共同研究を検討するとしている。
(2017年9月5日 産経新聞)
抗がん剤 副作用抑制へ、心筋硬化メカニズム解明
抗がん剤治療で疲労感や心疾患などの副作用の原因となる、心筋の硬化を防ぐメカニズムを解明したと、自然科学研究機構生理学研究所(愛知県岡崎市)と群馬大、九州大などの研究チームが3日、米医学誌「JCIインサイト」電子版で発表した。副作用の軽減に道を開く成果という。
研究では、広く治療に使われているアントラサイクリン系の抗がん剤をマウスに投与し心筋の細胞を調べた。その結果、細胞膜でカルシウムの透過にかかわるたんぱく質「TRPC3」と酵素の一つ「Nox2」が結びつき、活性酸素が増えて心筋細胞を萎縮させていることが分かった。疲労感などの副作用はこれが原因という。
さらに、このメカニズムを妨げる薬剤を探し、免疫治療のため開発され、実用化されていない薬剤「ピラゾール3」を投与したところ、たんぱく質と酵素の結びつきを阻害し、萎縮を抑制できたという。
研究リーダーの西田基宏・生理研教授(循環生理学)は「今後研究が進めば、抗がん剤の安全で継続的な使用が可能になり、副作用のためこれまで抗がん剤が使えなかった患者にも治療の可能性が期待できる」と話している。
(2017年8月3日 毎日新聞)
体内再現した「臓器チップ」、京大チーム開発…抗がん剤副作用も確認可能
人の臓器や組織の細胞を組み込んで、体内に近い状態を再現した「臓器チップ」を開発したと、京都大のチームが発表した。
実験動物を使わずに抗がん剤の副作用を確認でき、医薬品の開発に役立つという。論文が英科学誌電子版に掲載された。
チップは樹脂製で縦25ミリ、横75ミリ、厚さ5ミリ。半導体などを作る微細加工技術で、中に複数の小さな部屋を作り、部屋どうしを血管を模した極細の管でつないでいる。それぞれの部屋に臓器や組織の細胞を入れ、管を通して薬の成分が循環する。
チームは、人の肝臓のがん細胞と心臓の筋肉の細胞を、別々の部屋に入れ、抗がん剤を注入。すると、肝臓がん細胞は死滅するが、抗がん剤の攻撃を受けた細胞が出す物質が循環して、心筋細胞も傷つけることがわかったという。
京大の亀井謙一郎・特定拠点准教授(幹細胞工学)は「世界的に実験動物を減らそうという動きもある。将来は、より臓器に近いチップを開発したい」と話している。
(2017年8月2日 読売新聞)
クロスワードパズルが認知機能の維持に役立つ可能性
日常的にクロスワードパズルを楽しむことで、年齢を重ねても認知機能を維持できる可能性があるという報告が、アルツハイマー病協会国際会議で発表された。50歳以上の健康な成人1万7,000人超を対象とした研究で、クロスワードパズルに取り組む頻度が高い人ほど、集中力、推論力、記憶力を測るテストの成績が良いことが分かったという。
この英国の研究では、オンライン調査に参加した人を対象に、クロスワードパズルなどのワードパズルに取り組む頻度について尋ね、さらに認知機能のテストを実施。集中力、推論力、記憶力などの幅広い認知機能を評価する9つの課題を解いてもらった。
その結果、ワードパズルに取り組む頻度は、これらの課題を解く速度と精度に関連していた。ワードパズルに取り組むことがあると回答した人では全体として成績が良く、取り組む頻度が高まるにつれて成績は向上した。例えば、文法的推論の速度と短期記憶の精度を検査する項目では、ワードパズルに取り組む人は10歳ほど若い人と同程度の脳機能を維持していることが分かった。
認知症の専門家である英国アルツハイマー病学会のDoug Brown氏は、「この結果は順当なものだ。活発な精神活動は思考力の低下を防ぐのに役立つことが知られている」とコメント。ただし、今回の研究ではワードパズルと記憶力や思考力が関連することは示されたものの、ワードパズルの習慣によって実際にこうした能力が改善されるのかを解明するためには追加の研究が必要だと指摘している。
研究を実施した英エクセター大学認知神経学教授のKeith Wesnes氏もこれに同意し、「今後はこの関連性に関する臨床試験を実施し、ワードパズルに取り組むことが脳機能の改善につながるのかを調べる必要がある」と話す。「現時点では、認知症の発症リスクを低減するために最も役立つと考えられるのは、身体活動を続け、禁煙し、健康的なバランスの取れた食事を心がけることだ」と同氏はアドバイスしている。なお、学会発表された知見は査読を受けて医学誌に掲載されるまでは予備的なものとみなされる。
(2017年7月17日 HealthDayNews)
脳の「掃除細胞」、iPSで作製…アルツハイマー治療に光
人のiPS細胞(人工多能性幹細胞)から、脳内の不要物を取り除く免疫細胞を作製することに成功したと、京都薬科大とシンガポール科学技術研究庁などのチームが発表した。アルツハイマー病などの治療に役立つ可能性があるという。
この免疫細胞は、脳内の「掃除細胞」として知られるミクログリア。アルツハイマー病の原因とされる「アミロイド β 」などの異常たんぱく質を食べ、発症や進行を抑える働きがあると考えられている。
同大の高田和幸准教授(病態生理学)らは、人のiPS細胞から、ミクログリアのもとになる免疫細胞と、神経細胞の2種類を作製。これらの細胞を混ぜて培養するとミクログリアに変化し、試験管内でアミロイドβを食べることも確認した。論文は米科学誌電子版に掲載された。
河本宏・京都大教授(免疫学)の話「様々な病気の治療が期待できる重要な成果だ。人の体内で正常に機能するかどうかは、さらに検証する必要がある」
(2017年7月23日 読売新聞)
毎日歩行、野菜摂取など…生活改善で「健康寿命」に2年余りの差も
適度な睡眠や毎日の歩行などの健康的な生活習慣を数多く取り入れている人ほど、介護を必要としない「健康寿命」が長いとの調査結果を厚生労働省の研究班が発表した。
約1万人の高齢者を調査したところ、健康的な生活習慣を多く取り入れている人とそうでない人では、最大2年余りの差がみられた。
国は、生活習慣の改善によって健康寿命を延ばすことを目標に掲げている。研究班は2006年12月、宮城県大崎市で65歳以上の住民に生活習慣などに関するアンケートを行い、9746人について、9年間追跡調査した。
調査で「健康的な生活習慣」としたのは、非喫煙または禁煙して5年以上▽1日の平均歩行時間が30分以上▽1日の平均睡眠時間が6~8時間▽多めの野菜摂取▽多めの果物摂取――の5項目。これらの生活習慣の実践数と、死亡または要介護認定を受けるまでの期間の関係を調べた。
その結果、実践数が0~1項目だった人と比べた健康寿命の差は、2項目ある人は11・5か月、3項目だと17・4か月、4項目だと23・9か月それぞれ長かった。5項目すべて行っている人では25・4か月にまで差が開いていた。
研究をまとめた辻一郎・東北大学教授(公衆衛生学)は「健康的なライフスタイルを取り入れれば、健康寿命の延伸が期待できることを示唆する結果だ」としている。
(2017年7月12日 読売新聞)