今回は、「睡眠時の明るさと健康との関係」について面白い記事をみつけましたのでお伝えさせていただきます。
奈良県立医科大学疫学・予防医学講座の大林賢史氏らの研究グループが、約3,000人の一般住民を対象に、睡眠中の寝室の明るさと健康指標との関連を検討した研究(平城京スタディ)から、明るい寝室で寝ている人には、肥満、脂質異常、全身性炎症、うつ症状、睡眠障害が多いという結果を「Environmental Research」(2019年9月21日掲載)で発表しました。
今回の研究は、奈良県に居住する40歳以上の一般成人3,012人を対象とする大規模な疫学研究であり、解析対象は、照度計の設置位置が適当でないと判断された対象者などを除く2,947人(平均年齢69.3±7.8歳、女性60.6%)で、照度計を用いて2日間にわたり0.2ルクス未満・0.2~1.0ルクス・1.0~4.0ルクス・4.0ルクス以上に分けて調査したものです。
これら4群の健康指標を比較すると、
(1) 睡眠中の寝室照度が明るいほど、BMI、腹囲長、中性脂肪が有意に高値であり、HDL(善玉)コレステロールは有意に低値だった。
(2) 睡眠障害(ピッツバーグ睡眠スコア6点以上)やうつ症状(老年期うつ尺度スコア6点以上)の割合が有意に高かった。
(3) さらに、10ルクスをカットオフ値として二群に分けて比較すると、寝室の明るさが明るい群は白血球数が高値(P=0.041)で全身性炎症の亢進が示唆され、また、うつ症状を有するオッズ比が有意に高かった(P=0.047)ことを報告しています。
研究グループでは、「寝室の明るさと白血球数の関連を示した研究は、本研究が初めて。このメカニズムは、夜間の光曝露による睡眠障害やメラトニン分泌の減少が白血球数を増加させたのではないか」と考察しています。
健康維持のためには、体内時計を正常に保つことが大切と言われていることから、睡眠時は部屋の明るさを暗くしておき、朝日で目覚める習慣をつけることが良いのではないでしょうか。