今年もいよいよ年末を迎えますが、今年は新型コロナの影響がずっと続いてしまった一年になりました。
感染症対策として免疫力アップを心がけた、という方も多いのではないでしょうか。免疫力アップにつながるとされる食品が品薄になるなど、今年は特に社会的にも免疫力という言葉をよく見かけるようになりました。
ところで、免疫力アップというと食事や生活習慣に気を付けて色々がんばらなければならない、と感じている方も多いかもしれませんが、食生活だけでなく、誰でも手軽にできる「笑い」が免疫力アップにつながることが分かっています。
今回は、笑いと免疫力・健康との関連性についてご紹介します。
★そもそも免疫力とは?
免疫力とは、人間の体には、病原菌やウイルスなどの異物から身を守るための防御システムです。
免疫がうまく活動しなければ、人間は健康に生きることができません。
例年、冬には風邪やインフルエンザが流行しますが、流行したからといって全員が風邪やインフルエンザにかかるわけではなく、かかる人とかからない人がいます。
かかる人とかからない人の違いは、手洗いやうがいなど、予防のための行動習慣も重要ですが、免疫力が高いか、高くないか、という点も非常に大きく影響しています。
★「笑い」で手軽に免疫力をアップ!
笑うことで、免疫細胞の一つNK細胞が活性化することが分かっています。
NK細胞は、全身をパトロールしながら、がん細胞やウイルス感染細胞などを見つけ次第攻撃します。NK細胞を活性化させることで、感染症対策や、がんなどの生活習慣病予防にもつながるため、大変注目されています。
2017年5月に大阪国際がんセンターが、がん患者の免疫機能や生活の質などに「笑い」の機会が与える影響を検証する実証研究を実施しました。この研究では、「吉本興業」や「松竹芸能」協力のもと、2週間に1回、院内のホールで落語や漫才を開催して、血液検査などで免疫機能や生活の質にどのような影響を与えるか調査しました。
この研究によると、漫才や落語を鑑賞して笑うと、NK細胞が活性化され、免疫力がアップしました。逆にストレスや悲しみなどのマイナス感情を引き起こす情報を受け取ると、NK細胞の働きが弱くなることも報告されています。しかも、作り笑顔を続けるだけでも、NK細胞が活性化するという実験結果も出ています。まずは口角をあげて笑顔の表情を作ってみるなど、日常生活を笑顔で過ごす意識によって、免疫力アップが期待できます。
★それだけじゃない!笑うと体に良いことが盛りだくさん
笑うと、免疫力が高まるだけでなく、ほかにも体にさまざまな良い効果をもたらすことがわかっています。
(1)脳の働きが活性化
(2)血行促進
(3)自律神経のバランスが整う
(4)筋力アップ
(5)幸福感と鎮痛作用
(6)心筋梗塞や脳卒中のリスク低下
(7)食後血糖値の上昇が抑制
(8)認知機能低下の抑制
笑いは、日常的な健康への良い影響はもちろん、介護や医療の現場でも役立てられるようになっています。
2005年からは笑い療法士と呼ばれる認定制度も始まり、全国の介護施設や医療施設で笑いを取り入れた治療やケアを実践しています。
今年は新型コロナの影響で様々な影響があり、これまでの楽しい機会が失われる場面も多かったのではないでしょうか。身近にある何気ないものでも、気持ち一つで笑顔になれる場面もあります。
「笑う門には福来る」です。毎日の笑いと笑顔を心がけて、感染症に負けず、元気に新しい年を迎えましょう!